本来プレカット図は、プレカットメーカー内部で使用される加工用図面であり、設計者や施工者に渡すものではなかった。しかし現在では、設計者の施工図チェックに使用されたり、木構造の施工図として現場に提出されることが一般化しつつある。
ところが、これらのプレカットCAD図は、設計者が作成する伏図や軸組図と作図方法が異なる上、各プレカットメーカーのCADソフトや加工機の違いにより、図面の形式も様々である。そのため、設計者・工事者・プレカットメーカーが異なる組み合わせで関わる中大規模木造建築では、図面の違いが混乱を招く恐れがある。
こうした課題を受けて、一般社団法人中大規模木造プレカット技術協会と日本建築士会連合会の有志により、図面の合理化と標準化に向けた検討が開始された。令和年度には、施工図としても活用できるわかりやすい図面の作成に取り組み、一定の成果を得たため、セミナーテキストとしてまとめた。
なお、各社で異なる作図方法の標準化を進めつつ、共通化が難しい部分については解説や凡例を用い、混乱を防ぐ工夫がなされている。また、初心者向けにプレカット加工機やCAD、流通木材、接合金物など、プレカット全般に関する解説も併せて掲載している。